2014年 02月 10日
★発掘 銘玉は、まさに「和製 Biotar!!!(ビオター)」 その名は 『CANON FL 50mm f1.8(I)』
しかし、最初に撮ったこの1枚
1/1600 f1.8 ISO200
で (??)
そして もう1枚
1/2000 f1.8 ISO200
(これはいいレンズを手に入れたかもしれない。)
そしてさらに
1/4000 f1.8 (設定ミスの ISO800^^;)
1/4000 f1.8 (設定ミスの ISO800^^;)
(いいなぁ。このボケっぷり。)
そして、絞ってみる。
1/1250 f8 (設定ミスの ISO800^^;)
(絞ってもいいなぁ。これ)
そして、次の瞬間、驚きが訪れる。
1/250 f1.8 ISO200
(えっつ????? これは。。。。。。。。 この ぐるぐるボケは!!!!)
(Biotar!!!!!)
と衝撃が走った。
いや、私は、Carl Zeiss の 銘作 「Biotar 58mm f2」 を持っている訳ではない。しかし、その特徴ある描写は 楽しみに拝見させていただいている M42 MOUNT SPIRAL さん の記事でも拝見し
http://spiral-m42.blogspot.jp/2010/11/carl-zeiss-jena-biotar-58mmf2m42.html
知識として得ていた。
まさにその描写じゃないか。
帰宅後、WEBを検索し、情報を拾ってみる。
先述の M42 MOUNT SPIRALさんが、「Biotar コピー」として有名な ロシアレンズ 「HELIOS44」 についての記事を書かれている中に 「Biotar」 及び 「HELIOS44」 の レンズ構成図を掲載されていた。ご覧いただこう。これだ。(掲載許可をいただき、ありがとうございます。)
そして、次に、CANON のHPから 同レンズのレンズ構成図を入手した。それが これだ。
http://www.canon.com/c-museum/ja/product/fl102.html
「HELIOS」以上に そっくりなんじゃないか?
スペック比較においても その印象は変わらない。
BIOTAR-3
重量(実測)214g
絞り値 F2-F16
最短撮影距離 0.6m
絞り羽根 10枚構成
フィルター径 49mm
光学系は4群6枚
鏡胴の素材はアルミ合金。
〔M42 MOUNT SPIRALさんの記事から引用〕
↑
1950年代後期
・CANON FL50mm f1.8(I)
発売年月 1964年(昭和39年)3月
発売時価格 14,800円
レンズ構成(群) 4
レンズ構成(枚) 6
絞り羽根枚数 6
最小絞り 16
最短撮影距離(m) 0.6
最大撮影倍率(倍) 0.104
フィルター径(mm) 48
最大径x長さ(mm)x(mm) 61 x 40
質 量(g) 228
外観的にも 絞り羽の操作部が レンズ前部にあるという点も似ている。
さあ、ここからは、NET上にある情報を寄せ集めての、私の推論である。ジャンクレンズ使いの戯言と思いながら聞いていただきたい。
1948年、キャノンカメラに 伊藤 宏 というひとりの若者が入社する。
彼は、当時キヤノンが、日本光学工業(現ニコン)から技術者を引き抜いてレンズ設計をしており、その設計手法はドイツレンズをコピーすることで成立していたが、レンズ設計が後発のキヤノンが同じことをしても追いつけないと考え、ルートヴィッヒ・ベルテレなどドイツ設計者による特許公報を入手して勉強した。
そして、伊藤宏は、1951年 開放時にフレアが発生しがちと言われていた大口径ガウスタイプレンズの弱点を、収差論を合理的に活用した独自の解析によって克服し、ゾナー50mmF2に匹敵するコマ収差除去を実現したキヤノン50mmF1.8 を世に送り出す。
それから 13年後の 1964年 先述のSマウント用50mm F1.8で取り入れた理論展開を、一眼レフカメラ用レンズにも応用して設計された、ガウス型の標準レンズが発売される。これが 「FL50mm f1.8」 なのである。
・Sマウント50mm f1.8 のレンズ構成図
・FL50mm f1.8 のレンズ構成図
こうして, Sマウント50mm と FL50mm f1.8 のレンズ構成図を見比べると、かなり違う印象を受ける。もちろん、Sマウント 50mm と「Biotar」も異なっているように思う。
研究を推し進める中で、結果として 「Biotar」 に似たレンズ設計となったのか、入手勉強した ドイツの特許公報にあった(可能性のある) 「Biotar」 の情報を参考にし、「Biotar」 に近づいたのか。今となっては解明できないが、私は、その両面からの混合の結果ではないかと思っている。
が、それは、さほど重要な意味を持たない。
何よりも、いま眼前にある 「FL50mm f1.8」 が魅力的 かつ 高性能な描写力を持つレンズだという まぎれもない事実の前では。
さあ、そして、安レンズ使いの私にはここが重要だ(笑)
「Biotar 58mm f2」 が、2014年1月時点の 流通価格1.5~2万円
Biotarコピーとして有名な 「HELIOS 44」 が 0.5万円~1万円
対する 「FL50mm f1.8」 が 100円 ~ 0.5万円
そう 5千円も出せば、極上玉が手に入るという圧倒的なコストパフォーマンスなのである。
実際、私は 定期巡回ルートのカメラ屋のジャンク棚に 600円 で置かれていたのを確保した。
そう、「600円」 なのである!!!
その個体で撮影したのが、上記の撮影結果である。
なお、この後継たる FD50mm f1.8 も、4群6枚 のレンズ構成ではあるが、いままで一度もこのような ぐるぐるボケ が発生したことはない。
つまり、この描写が味わえる CANONレンズは、これが最後なのである。〔その上、個人的には FD50mmf1.8 よりも、高い描写力と感じている。 ← これについても後日書くつもり。〕
世間から忘れられた FLレンズ。さらに その中にあって、大衆機の標準レンズでもあったため、ありがたがられることもない 「FL50mm f1.8」
だが、このレンズは、「和製 Biotar (ビオター)」 と呼んで差し支えないパワーをもった銘玉だったのである。
Carl Zeiss の銘玉にも似た、
・オールドレンズらしいダイナミックな味(開放では)
・オールドレンズらしからぬ 高コントラスト、高解像
という2つの味を リーズナブル かつ 濃厚に味わえるのだ。
(こうなると、本物の Biotar と比較してみたくもなる<苦笑>)
こんな「FL50mm f1.8」 を私は強くすすめたい。
各種マウントアダプターの方が値段が高くなるかもしれない。というのはご愛敬。ということで。
ただ、このレンズには いくつかの注意点もある。次回は、そのあたりも含めてお話をしていこう。
〔「FL50mm f1.8」掘り下げ企画は もうちょっと続きます ^^;〕
CANON FL 1:1.8/50mm 2:楽オク中古品 |
アダプターで他社のレンズが使用できます。キャノンFD - ソニーソニーNEX マウントアダプター E... |
あれ? うちにもあったか(親父のcamera)と思いましたが
こちらはFD50でした。 そういえば そのレンズもお持ちなんですよね?
メーカーじゃないそっくりな描写、面白いですね。
訪問&コメントありがとうございました。
オールドレンズの世界は奥が深いですね。
私もニコン派ですが、手元には28mm/1.8、50mm/1.8、70-200/2.8の3本しかないです。昔のものはみんな手放してしまいました。
開放でも解像感がありますね。お子さんの画像はやわらかくて暖かい感じです。花の画像は最短距離でしょうか。見事にグルグル感が出てますね。私はあまり使わないレンズなのですが、主題と背景の距離の取り方でこのグルグル感が目立つのかも知れませんね。だいぶ前ですがNikkorの50mmF1.8で子どもの写真を撮りましたが、お子さんの写真をみて似たような描写なのかなと感じました。
今度はぜひ、FTbにモノクロでお願いします。
因みに私は、HELIOS-44はBiotarのコピーではなく、Biotarの工学設計を参考に独自開発したレンズという見解なのです。
例えばJUPTERシリーズに代表されるソビエト連邦のコピーレンズは、もっとそっくりそのままなので、HELIOS-44の場合は新たに光学計算をやり直した様に思っています。
(収差の落とし所が微妙に異なって見える為)
とまぁ、こんな理屈はどうでもいいですよね。
ともかく私は設定ミスのISO800で撮影された2枚が好きです。
ハイキーでとてもいい。
写真はあくまで理屈じゃなく結果だもの。
だから、いいんじゃないですか?このレンズで。
娘さんかわいいもの。
私はぐるぐるボケが大嫌い(これは個人の好みですね)だけど、ダブルガウスのやさしく溶けるボケ足が綺麗なのでHELIOS-103がSonnar等を抑えて常用50mmの地位に居ます。
そうなんです。CANONだったんです。FD50mmも持ってます。これはこれでよく写るんですが、個人的には、この FL50mm の方が気にいりましたねぇ。
>papacameraさん
いやいや、レンズ構成なんてのは知らなくてもいいとは思うんです。実際、私も 手持ちレンズの全てを知っている訳ではないですし、○○型と分類されるレンズは、構成だけで言えば、結構見てるのかもしれませんし、似ていても結果は違って、そこに、技術者のコダワリがあるような気もしますし、撮影者としては、レンズを気にいって、気分的にひっかかることがなく シャッターを切っていければいいんだと思います。
なんとなく、レンズの背景をしれれば、面白い。そんな感じです。「プロジェクトX」が好きな感じです。(どんな感じだ<笑>)
オールドレンスを集めるつもりがあって集めた訳ではないんですが、価格的にオールドレンズが集まってますね(笑)
でも、古くても使えて よく写るのが結構あるんで、そんなレンズを紹介したいなぁ。という思いもあったりします^^
NIKON でも Dfの開発者のコメントにオールドNIKKORでも、今の基準でもいいレンズがある。というような発言もありましたしね。 最後になりましたが、訪問・コメント ありがとうございます。
>OhBeHelloさん
コメントありがとうございます。FL使いの OhBeHelloさん にどう言っていただけるか楽しみにしておりました。
何本あるのか不明。というのがさすがです(微笑)私は、なんだかんだで、4本になってしまいました。(それでも安いものですが^^;)
FL → FD → NFD → EF となっていく中で、完全に忘れられているFLレンズですが、いやいやどうして いいじゃないか。と思いますよね^^
いや、写真を撮るのも好きなんですが、道具としてのカメラ・レンズ、それ自体も結構好きでして、なんだかんだで かなり集まってます。いずれも古くて安い物なんですがね(笑)
猫は「ウシ君」ですよ^^かわいくて、おっとりしたいいネコです。
>tact_teaさん
コメントありがとうございます。FTb+カラーフィルム。はこないだ撮った(まだ未現像)んですが、モノクロはまだですねぇ。
これもトライしてみます。(時期未定で恐縮ですが^^;)
コメントありがとうございます。ご指摘も修正しました(^^;
さて、レンズ。
結果がどうか。が、確かに重要で、その点においては、どのレンズでもいい訳ですし、歴史も。
グルグルぼけは、確かに 主題以上に目立ってしまって、主題を殺してしまう感じもあるので、無いにこしたことはないような気はします。
が、噂のグルグルボケを味わってみたかったので、なんだかうれしい気持ちがしましたし、2面性のあるレンズ。ということで面白いなぁ。と。
いずれにしても、このレンズ気にいって、あっという間に4本になってしまいました(爆)
激しすぎて写真から音が聞こえるんだよねぇ・・・
ぐるぐるが出るケースというのも次第にわかってくると思うので、じゃんじゃん撮影される事をお勧め致します。
で、下の方がまだ数箇所未修正ですよ(笑)
Summar というとライカL39マウントですかね。
ライカは金額的にまだ手が出ないんで、未開の地ですね。いつかはバルナック型とライカレンズ達を。とは思いますが。
気にいったので、ジャンジャン撮っていきたいと思います。
でもF1.8は(I)も(II)も枚数は一緒。でも60gくらい重くなってる。なんでなのかは両方が手元に無いと判りませんねぇ。F1.4はリペアで両方あって初めて太さも長さもちょっと違うって知りましたから。(笑)
そう言えば、ビオ太さんですが、今日a7と初デュエットさせてぐるぐるさせて来ました。次回はヘリオス44も連れてって比べて見ようかと思います。
Spiralさんトコ、HPの方をちゃんとアップしてねってお願いしたのに、相変わらずお手軽にFBアップばっかです。(笑)
ではでは推参失礼致しました。m(_ _)m
はじめまして。ですよね?コメントありがとうございます。
FL50mmは、勝手に「和製ビオター」と呼んでますが、かなりの高性能です。
FL50mm f1.4(II)は、一時期欲しくて探したのですが、その時は、価格にみあった出物がなくて、買ってないですね。
f1.8は、私の手元に(I)、(II)共にあります。これもいつかは比べて記事にしたいな。と思っているんですが、まだ着手できていません。
(II)は、トリウム不含有レンズに変わっているんで、それが写りに影響しているか否か。を調査したいと思ってはいるんですが。
α7は、私もオールドレンズ愛好家として、やはり常に気になっております。(^^;
気になったのでぐるぐるチェックしてきました。(笑)
これビオターとヘリオス44
http://ameblo.jp/kurenai-kohboh8888/entry-11856353869.html
で、これはFLとFDとNFDなど混ぜてみました。
http://ameblo.jp/kurenai-kohboh8888/entry-11861093567.html
一応ぐるぐるはしてる様ですが、被写体が細かすぎたのかイマイチ?でした。
おまけでFLの見分け方です。
http://ameblo.jp/kurenai-kohboh8888/entry-11858421402.html
キヤノンレンズにおけるビオターとの近似性の考察、大変面白く読ませていただきました。
私の知る範囲でキヤノンレンズの中で判明している限り恐らく唯一、ビオターの測定データを基に設計されたレンズが戦中に存在します。
レンズの名前は精機光学Rセレナーレンズ。設計者は古川良三。
古川は日本光学から移籍した光学技術者でRセレナーはツァイスのビオター4mf2の測定データを基に国産で入手可能な限られた硝材という制約の中、4.5cmf2をスタートにf1.5、5cmf1.5のRセレナーを1942年までに完成させています。
駄文にお付き合いいただきましてありがとうございます。
セレナーレンズ。というと、L39マウントですよね。戦中でもドイツとは同盟関係にあったから情報のやりとりがあったということでしょうか。
それも非常に興味深いですね。
この写真は,すべて NEX-5D で撮ったものなので,補正レンズは入っていません。ですから,APS-Cサイズに切り取られてはいますが,レンズ本来の味と思っていただいていいかと思います。
長文コメントありがとうございます。1950年代から1960年代のことですから、もう正確なことはわからないこともあるでしょうし(一応、キャノンHPなどの情報から推測したものですが)、あくまでも、一カメラ馬鹿の戯言、妄想ですから、お楽しみとして見てください。
あと、この画像自体は、間違いなく FL50mm で撮ったものですから、フィルム時代の性能は別として、デジタルとの相性がいいというのは間違いないかと思います。